診療体制
2024年4月は矢内病院長補佐兼第二医療局長、東間第2医療局次長兼小児外科部長、益子小児泌尿器科部長、清水(咲花)医師、二見徹医師、木村翔大医師の6名でスタートした(矢内、益子は小児泌尿器科を兼務)。二見医師は福島県立医大小児外科から派遣されて勤務しており、木村医師は昭和医科大学小児外科から派遣されて4月に着任した。また、5月には清水医師に代わって順天堂大学小児外科より藤本隆士医師が着任し、次いで6月に日本大学小児外科より山岡敏医師が着任した。以降、小児外科・小児泌尿器科部門は7名体制で診療を行った。診療形態は、矢内、東間、益子が指導医として4名の若手医師の指導にあたり、若手医師はそれぞれ小児外科専門医の取得を目指して研修に励んだ。
東間は小児外科・新生児外科一般のほか、とくに呼吸器外科(気道手術)や悪性腫瘍手術において主力となり、二分脊椎外来や排泄外来および医療的ケア児外来でも活躍している。益子はとくに内視鏡外科や泌尿器科において存分に力を発揮し、さらなる低侵襲手術を提供している。
また、当院が性暴力被害者支援のための茨城県のネットワークに参加するのに合わせて、東間が身体的診察および外傷治療を担当することになった。
手術
2023年の全身麻酔下での手術・検査件数は543件であり、新生児手術数が26件、鼠経ヘルニア手術が110件、内視鏡手術・検査数が102件、日帰り手術・検査数が96件であった(表1)。年間の全身麻酔下での手術・検査件数(実症例数)は全国的な出生数の減少を受けて、若干の減少を示した。COVID-19流行時に手術・検査件数は減少したが、その後明らかな増加傾向には転じていない。なお、他の登録作業との集計の都合上、2024年1月~2024年12月の件数とした。
手術全体に占める内視鏡外科手術の割合は昨年度同様およそ17%であった。当科では様々な手術において内視鏡外科手術を積極的に導入しており、腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術においては鼠径ヘルニア手術の3割を占めた。また、本年度は腹腔鏡下胃瘻造設術が多く施行された。
麻酔科の協力のもとで軌道に乗っている日帰り手術・検査は人気が高く、患児・家族へのサービス向上に貢献している。しかしながら外科受診患者が全体的に減少しており、手術待機期間は時期によってバタつきがあるものの、おおむね1か月程度である。
早産時や低出生体重児の増加に伴う長期気管内挿管による後天性声門下腔狭窄に対する治療は当科の特長であり、気管切開カニューレ抜去と発声の獲得に向けて積極的に治療を進めている。この治療は関東地域では当院がもっとも経験値が高いため、他県からの紹介が多い。
重症心身障がい児の外科手術件数は例年より減少したが、医療的ケア児外来を通じて重症心身障がい児に対する総合的(全科横断的)な診療を行う中で外科治療の位置づけを決定している。
消化管内視鏡検査・処置については、総合診療科の斉藤医師が中心となって施行しており、年々症例数が増加している。詳細は総合診療科の項を参照されたい。
小児泌尿器科領域の手術に関しての詳細は小児泌尿器科の項を参照されたい。
外来
月曜日午前および火曜日午前・午後を東間が、木曜日午前・午後を矢内が、金曜日午前・午後を益子が担当している(矢内・益子は小児泌尿器科外来を兼務)。第2、4火曜日の午後は排泄外来として、二分脊椎や鎖肛術後など、排泄障害をもつ児の長期的フォローを行っている。また、総合診療科と合同で診療する医療的ケア児外来を月曜日の午後に東間が担当している。
地域貢献
茨城小児科学会で当科の治療方針を報告して地域小児医療の一翼を担えるよう小児外科疾患の診断・治療の普及に努めている。また、茨城外科学会にも参加して当科の活動を広報した。
教育
県内の看護学校の小児看護分担講義(小児外科)や院内の看護師への講義(小児外科疾患の術前術後管理)を実施している。
(小児外科部長 東間 未来)
| 手術・検査総数 | 543 |
| 新生児手術・検査数 | 26 |
| 鼠径ヘルニア手術数 | 110 |
| 鏡視下手術・検査数 | 96 |
| 日帰り手術・検査数 | 134 |
| 頭頸部 | |
| 舌小帯形成術 | 1 |
| 甲状舌管嚢腫切除術 | 2 |
| 喉頭裂縫合術 | 1 |
| 喉頭気管分離術(嚥下機能手術) | 2 |
| 硬性鏡下喉頭病変レーザー治療 (喉頭狭窄、他) | 45 |
| 気管形成術 | 3 |
| 気管切開術 | 6 |
| 気管切開口閉鎖術 | 1 |
| 声門閉鎖術 | 2 |
| 合計 | 63 |
| 胸部 | |
| 食道閉鎖症再建手術 | 1 |
| 縦隔奇形腫切除術 | 1 |
| 横隔膜ヘルニア手術 | 2 |
| 漏斗胸手術 (Nuss法) | 1 |
| 肺切除術 | 5 |
| 合計 | 10 |
| 腹部 | |
| 噴門形成術 (腹腔鏡下) | 5 |
| 肥厚性幽門狭窄症手術 | 5 |
| 胃瘻造設術(単独+噴門形成術・付加) | 11 |
| 腸閉鎖症手術 | 3 |
| 腸回転異常症手術 | 3 |
| 腸重積症手術 | 1 |
| 臍帯ヘルニア手術 | 4 |
| 腸瘻造設術 | 1 |
| 腹腔鏡下虫垂切除術 | 17 |
| 人工肛門造設術 | 2 |
| 人工肛門閉鎖術 | 3 |
| 腸閉塞症手術 | 4 |
| 腹腔鏡補助下ヒルシュスプルング病根治術 | 1 |
| 低位鎖肛根治術 | 3 |
| 結腸切除術・洗腸路造設術(腹腔鏡) | 2 |
| 腹膜炎手術 | 4 |
| 痔瘻手術 | 2 |
| 胆嚢摘出術 | 1 |
| 腹腔鏡下胆道拡張症手術 | 2 |
| 副腎悪性腫瘍手術 | 2 |
| 卵巣腫瘍切除術(卵巣捻転を含む) | 4 |
| 仙尾部奇形腫手術 | 2 |
| 臍部腫瘤 | 1 |
| 尿膜管切除術 | 1 |
| 臍ヘルニア・腹壁ヘルニア修復術 | 11 |
| 合計 | 221 |
| 全身麻酔下検査・処置 | |
| 食道バルーン拡張術 | 5 |
| 気管支鏡(異物除去を含む)・喉頭気管支ファイバー | 14 |
| 中心静脈テーテル挿入、抜去 | 21 |
| 合計 | 40 |
