病院長あいさつ

新井 順一

あけましておめでとうございます。

私が院長に就任してから、今年で4回目の新年を迎えることとなりました。1年目および2年目は新型コロナウイルス感染症への対応に追われ、3年目は主に医師の働き方改革への対応に力を注いでまいりました。新型コロナウイルス感染症への対応がひと段落した現在、医療経営を取り巻く環境はご存じのとおり全国的に厳しさを増しており、とりわけ少子化が進行する中で、小児医療は一層困難な状況に直面しています。

当院は開設から40年を経過しましたが、関係者の皆さまの不断の努力により、少しずつ前進を続けてくることができました。開設当初は一部の小児専門診療に限られていましたが、現在では小児科の専門診療はほぼ全領域に対応できる体制となりつつあります。また、医療的ケア児支援や虐待対応など、関連分野にも積極的に関与しています。小児外科領域については、なお対応が十分でない診療科もありますが、以前と比べ守備範囲は着実に広がってきました。

救急医療については、年間約2,700台の救急車を受け入れ、応需率はほぼ100%を維持しています。県内の小児がいつでも救急医療を受けられる体制を維持することは、地域の医療機関にとっても大きな安心につながるものであり、当院は「最後の砦」として重要な役割を担っていると考えています。現在、少子化の進行も相まって、多くの機能が当院へ集約されつつあります。その結果、当院の役割と責任はますます重くなっています。

少子化が進む一方で、当県では小児科医が不足しており、地域の小児救急医療を適切な医療圏の中で維持することは困難な状況にあります。安心して妊娠・出産・子育てができる環境が整わなければ、少子化はさらに加速してしまいます。発達障害診療においては、初診までに半年以上を要する状況が続いており、今後5歳児健診が開始されることで、小児神経科医の不足は一層深刻な課題となることが予想されます。小児科医の地域偏在を是正し、県内どこでも安心して小児科医療を受けられる体制を整えるため、当院は筑波大学や地域医療機関と連携しながら、小児科医の育成および派遣に引き続き努めていく必要があります。また、小児医療は最先端医療が導入されやすい分野でもあるため、当県においても遅れることなく提供できるよう、主要な小児医療機関と連携を深めていくことが重要です。

少子化の進行による小児医療機関の経営への影響は当院においても懸念されるところですが、幸い昨年度は黒字を計上することができました。しかしながら、今後も予断を許さない状況が続くと考えられ、診療報酬上のさらなる配慮が望まれます。小児医療には、いまだ十分に提供できていない分野も多く、また時代の変化とともに求められる医療内容も変わっていきます。こうした点を踏まえながら、健全な病院経営に努めていく必要があると考えています。

2025年2月に県より正式に県立中央病院との統合計画が発表されました。当院は今年で開設40周年を迎えますが、特に1号棟の老朽化が著しく、建て替えの必要性が高まっていました。小児病院としての独立した役割が失われることは残念ではありますが、現状においては総合病院との連携が必要な分野も多く、形成外科、整形外科、耳鼻咽喉科など、当院単独では対応が難しかった外科系小児専門分野の充実が期待されます。さらに、高度化する小児医療や広域小児救急への対応を見据えると、統合によって当院の機能がより高まることを期待しています。もっとも、統合はまだ先の計画であり、当面は隣接する水戸済生会総合病院との連携を強化し、県内小児医療を牽引する役割を果たしていく必要があります。関係各位のご協力のもと、小児医療のさらなる充実を目指して尽力してまいりますので、今後ともご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2026年1月1日