新生児科

新生児病棟で扱う主な疾患

昨年、新生児病棟に入院した赤ちゃんは366名でした。新生児病棟で診療するのは、主に次のような病気の赤ちゃんです。

  1. 出生体重2000g未満の未熟児/低出生体重児
  2. 呼吸障害
  3. 先天性心疾患
  4. 先天奇形
  5. 新生児仮死、新生児痙攣などの神経疾患
  6. その他:黄疸、低体温、発熱、感染症、多血症、出血傾向など

新生児病棟について

新生児病棟は、病床数36で、NICU18床、GCU18床よりなっています。NICUは、新生児特定集中治療室管理(NICU 管理料)の対象になっています。

当院には、産婦人科はありませんが、隣接する水戸済生会総合病院の産科(周産期センター)と一体化した新生児医療体制よる茨城県総合周産期母子医療センターとして機能を有しています。出生直後から治療が必要と思われる場合には、赤ちゃんが生まれる前に母体搬送してもらい、ハイリスクの分娩には私たち新生児科医が立ち会います。また、生まれてくる赤ちゃんに、重大な病気が予想される場合には、出生前にご両親に病気について説明させていただくこともあります。

院外で重症の赤ちゃんが出生した場合には、新生児用救急車に医師と看護師が同乗して、迎えにいきます。

また当院には、小児外科、心臓外科があり、生後早期に治療が必要な外科疾患、心臓疾患の赤ちゃんも入院してきます。

入院方法

原則的に生まれた後、産婦人科に入院中の赤ちゃんが対象です。いったん退院された赤ちゃんは、感染症の心配などがあり、一般病棟に入院していただきます。重症の赤ちゃんの場合には、依頼先の産婦人科まで医師と看護婦が新生児救急車(ラッコ号)に同乗して迎えに行き、治療を行いながら搬送します。母体搬送ができない場合のハイリスク分娩に立ち会うこともできます。

茨城県新生児救急医療システム

茨城県では、1987年より新生児救急医療システムが開始されています。現在は、県内を3つのブロックに分け、それぞれの総合周産期母子医療センターで県内の病的新生児をすべて診療できる体制をとっています。当院が担当するのは、水戸市、ひたちなか市、大子町など県央・県北ブロックです。当院が満床であったり、人工呼吸器が足りない場合でも、他施設のNICUと連絡をとり、適切な治療が受けられるよう受け入れ先を確保します。

研修医の教育体制

経験豊富な上級医が指導にあたっています。1年間の研修期間内には、黄疸、嘔吐、極(超)低出生体重児の管理、一過性多呼吸及び呼吸窮迫症候群の呼吸管理、仮死児の管理などができることを目標としています。手技としては、点滴確保(末梢および経皮的中心静脈カテーテル)、動脈ライン確保、気管内挿管、腰椎穿刺、胸腔穿刺、交換輸血などができるようになることを目標とします。特に、ライン確保と気管内挿管については、自信が持てるように指導します。 フォローアップ外来も少しずつ参加してもらい、発達外来の知識習得も目指しています。

その他、脳低温療法、一酸化窒素吸入療法なども施行しており、指導医のもとに経験する機会もあります。また、新生児外科疾患や先天性心疾患の対応も行うため、幅広い知識の獲得が可能です。 日本周産期・新生児医学会専門医の研修病院となっており、現在新生児専門医が5名おります。  学会発表や論文発表も積極的に行っています。2019年には、竹内秀輔医師の論文が日本新生児成育学会論文賞を受賞しました。英語論文作成の指導も行っている他に、医療統計に詳しい指導医もおり、医療統計をしっかり身に着けることも可能です。