臨床工学科

臨床工学技士は医療機器のスペシャシストとして1987年に生まれた国家資格です。

当院では1999年7月に1名が採用されました。その後2002年と2009年4月に1名ずつ増員されました。2008年には臨床工学科を立ち上げ、現在は医療技術部に属しています。現在3名の臨床工学技士で人工心肺、補助循環、心臓カテーテル検査、急性血液浄化、人工呼吸器(在宅含む)、医療機器管理などの業務を行っています。

スタッフ紹介

心臓血管外科部長を科長として、臨床工学技士3名でオンコール体制で業務を行っています。

科長(兼務)阿部 正一医師(心臓血管外科部長)
科長補佐布村 仁亮臨床工学技士
初級システムアドミニストレータ
3学会合同呼吸療法認定士
体外循環技術認定士
専門員横川 忠一臨床工学技士
体外循環技術認定士
主任野村 卓哉臨床工学技士
3学会合同呼吸療法認定士
MDIC(医療機器情報コミュニケータ)
体外循環技術認定士
認定医療機器管理臨床工学技士

業務紹介

  1. 人工心肺業務
    人工心肺装置の操作(HAS-Ⅲ)
    心臓の手術を行うときに登場するのが人工心肺装置です。心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を操作して、全身の循環管理を行っています。心臓の手術を行うときには心臓を止めなければならず、その際に必要な薬剤を供給する装置(心筋保護液供給装置)を操作して、心筋保護液を注入することで心臓を安全に停止させています。その他、術野から出血した血液を回収する自己血回収装置の操作なども行っています。火曜日と木曜日に2名体制にて業務を行っています。
  2. 心臓カテーテル検査業務
    ポリグラフの操作
    心臓カテーテル検査では、カテーテルと呼ばれる非常に細い管を足の付根や首の血管から経皮的に挿入して、心臓や血管の様々な部位の血圧や酸素飽和度を測定します。また、造影剤を使用したX線撮影により心臓の動きや形態、血液の流れやすさなどを調べることができます。検査により血管に狭窄部位が見つかった場合は、必要に応じてバルーン拡張術(PTA)などの治療が実施されます。
    臨床工学技士は、ポリグラフを操作して心電図や心内圧の監視や記録を行っています。そのほかにデジタルオキシメータを使用した血中酸素飽和度の測定を行っています。これらの検査データは、独自の心臓カテーテル検査データベースに入力しオンラインで共有しています。臨床工学技士は検査や治療が安全かつ円滑に行われるように、医師や看護師および診療放射線技師と連携をとって業務にあたっています。
  3. 補助循環業務
    補助循環装置
    心臓手術後の重症心不全や人工心肺離脱困難な症例や、人工呼吸器では管理できないほどの重症呼吸不全に対して補助循環装置を用いて、呼吸および循環の補助を行います。人工心肺装置に比べてコンパクトな構造になっています。抗血栓性に優れた機材を用いており、長期間使用することができます。腎不全を発症した場合や予防的に透析(持続的腎代替療法)を併用する時は補助循環回路のサンプリングラインから血液浄化回路を接続しています。補助循環運転中は臨床工学技士1名が必ず院内に常駐して、24時間体制で管理を行っています。
  4. 人工呼吸管理業務
    人工呼吸器
    人工呼吸器は生命維持管理装置の一つであり、自力で呼吸ができない患者さんや呼吸の弱い患者さんに装着し、呼吸の代行もしくは補助を行う装置です。当院では新生児集中治療室をはじめとする全ての病棟で使用されており、現在14機種の人工呼吸器を管理しています(2021年12月現在)。
    臨床工学技士は人工呼吸器の日常点検や定期点検計画の立案・実施といった管理業務以外に、臨床においては医師や看護師と連携して人工呼吸器導入のサポートを行っています。また、看護師を対象とした人工呼吸器勉強会を積極的に実施しています。在宅人工呼吸器を装着して退院される患者さんの御家族には、看護師や理学療法士など多職種と連携して患者さんだけでなく御家族も安心して退院できるように、人工呼吸器の取扱方法の説明などのサポートを行っています。
  5. 急性血液浄化業務
    血液浄化装置
    (AN69ST膜による
    CHDF+PMX直列接続)
    急性血液浄化とは急性腎障害などで腎機能低下がみられる場合に行う腎補助を目的とするCRRT(持続的腎代替療法)や、インターロイキンをはじめとするサイトカインによる敗血症性ショックなどの場合にサイトカインの除去を目的に行うエンドトキシン吸着療法などの総称で、集中治療室では欠かせない治療法の一つとなっています。茨城県立こども病院でも該当する患者さんが発生すれば臨床工学技士が中心となって実施しており、実施中は24時間体制で監視に当たります。茨城県立こども病院では状況に応じて、日本中のあらゆる急性血液浄化療法の中から、個々の患者さんに最適な急性血液浄化療法を選択して実施することが可能です。
  6. 医療機器管理業務
    医療機器の貸出
    (ME-TOMASS)
    院内で使用している医療機器は購入からメンテナンス、廃棄までを一括して臨床工学科で管理しています。2015年度から医療機器管理システム(ME-TOMASS:宮野医療器株式会社)を導入し、さらに詳細な医療機器管理を実施して各医療機器の使用度合いのばらつきを抑えるように努めています。
    それ以外にも医療機器メンテナンスの講習会に積極的に参加し、なるべく院内でメンテナンスを行うことでメンテナンス費用を削減できるよう努めています。

業務実績

学会発表・論文

臨床工学科では学会やセミナーに積極的に参加しており、学会発表や論文の投稿を行っています。

直近5年の実績を示します。

学会発表(2017年〜2021年)

  • 野村卓哉、布村仁亮.臨床工学技士を当事者とした薬剤関連インシデント報告の分析.第31回日本臨床工学会.熊本.2021
  • 野村卓哉.テキストマイニングを用いた臨床工学技士の研究動向の分析-第21回-第29回の日本臨床工学会の演題について-.第30回日本臨床工学会.愛知+Web.2020
  • 野村卓哉.テキストマイニングを用いた在宅人工呼吸器関連インシデントレポートの把握.第42回日本呼吸療法医学会学術集会.京都+Web.2020
  • 横川忠一、肥田浩佳、池邉記士、助川岩央.人工呼吸器のリーク許容範囲警報が挿管チューブの入れ替えの指標として有効であった1例.第47回日本集中治療医学会学術集会.愛知.2020
  • 布村仁亮.こども専門病院におけるニプロ社製輸液ポンプFP-N11への機種変更の経験.第29回日本臨床工学会.岩手.2019
  • 布村仁亮.イワキ株式会社製「Cirri フルフェイスマスク ミニ」の使用経験.第41回日本呼吸療法医学会学術集会.大阪.2019
  • 布村仁亮.小児専門病院における在宅人工呼吸器の選択 ~リスクヘッジの観点から~.第2回茨城県臨床工学会.茨城.2019
  • 野村卓哉.特別支援学校教員の在宅人工呼吸器を使用する生徒の受け入れに関する不安.第29回日本臨床工学会.岩手.2019
  • 野村卓哉.テキストマイニングを用いた臨床工学技士の研究動向の分析-日本臨床工学会での演題発表について-.第2回茨城県臨床工学会.茨城.2019
  • 野村卓哉、布村仁亮.臨床工学技士による小児在宅人工呼吸器患者の退院前訪問内容の検討.第41回日本呼吸療法医学会学術集会.大阪.2019
  • 野村卓哉、布村仁亮.臨床工学技士を当事者とした人工心肺関連インシデントの分析(第一報)-日本医療機能評価機構の公開データの活用-.第45回日本体外循環技術医学会大会.愛知.2019
  • 野村卓哉、布村仁亮.小児専門病院における在宅人工呼吸器に関連したインシデントの分析.第14回医療の質・安全学会学術集会.京都.2019
  • 布村仁亮、齊藤綾子、鈴木竜太郎、泉維昌.Sensenbrenner症候群による腎障害によりCRRTを実施した一症例.第46回日本集中治療医学会学術集会.京都.2019
  • 野村卓哉、布村仁亮、横川忠一.こども病院主催の在宅医療従事者向け講習会後の質問紙調査の結果からみる在宅医療の現状と今後.第28回日本臨床工学会.神奈川.2018
  • 布村仁亮.115床のこども専門病院での医療機器管理ソフトの導入と今後の運用.第28回日本臨床工学会.神奈川.2018
  • 布村仁亮.エンドトキシン吸着を含む集学的治療により救命しえた新生児消化管穿孔の1例.第45回日本集中治療医学会学術集会.千葉.2018
  • 野村卓哉.臨床工学技士の大学院への進学ニーズ.第27回日本臨床工学会.青森.2017
  • 布村仁亮.こども専門病院での呼吸器インシデントの傾向と対策.第27回日本臨床工学会.青森.2017
  • 布村仁亮.体外循環中に人工肺交換を必要とした小児開心術の3症例.第43回日本体外循環技術医学会大会.札幌.2017
  • 布村仁亮.GBS感染によりAKIを発症しCRRTを導入された1症例.第25回日本小児集中治療ワークショップ.東京.2017
  • 布村仁亮.小児専門病院における重症呼吸不全患者に対する多職種連携.第6回日本小児診療多職種研究会.沖縄.2017
  • 野村卓哉、布村仁亮、塩田逸人、伍藤新平、勝田絵梨、木村仁美.茨城県立こども病院における在宅人工呼吸器と臨床工学技士の役割.第6回日本小児診療多職種研究会.沖縄.2017

論文発表(2017年〜2021年)

  • 野村卓哉.臨床工学技士のキャリア形成における大学院への進学の実態調査(第1報)-修士課程(博士前期課程)における進学者の調査結果-.日本臨床工学技士会会誌64:91-98,2018